第4話「私は天使でも悪魔でもないから」

「じゃ、これからマリアの歓迎会ってことで!スピリタス隊のメンバー、集めてきますね!」

 キリトが楽しそうに部屋を出た。次の瞬間、背後からぞくりとする冷たい声が私を呼んだ。
「やあ。キミが、悪魔憑きのエクソシスト?」

 柔らかな金髪を揺らす男の子。この子、見覚えがある。

(この金髪の子は確か、さっき校内で会った……)

 私がそう思った瞬間、少年は私に笑顔を向けた。
「はじめまして。僕が君の悪魔を祓ってあげようか?」
「何言ってるの、いきなり……」

「マリアって君でしょ?僕は九条院日和。よろしく。」
 私は、本能的に危険を感じて、後ずさりした。

「警戒しなくていいよ。僕も学生エクソシスト隊のメンバーだからね。僕は悪魔祓いに失敗したことはないし。それより、君にも悪魔が憑いていたら、この先、どこでも周囲を不幸にするよ?」

「ありがとう。でも悪魔祓いは結構よ。私には悪魔が必要なの。」
 相当強引な性格だけど、私も負けてはいられない。

「必要?悪魔の力が?君もなかなか末期症状だね。」
 その時、宗像さんが食堂に入ってきた。

「どうした、日和、マリア?」

「別に。自己紹介だよ。これからよろしく、って。」

「それにしては、ちょっとケンカ腰じゃないか?」
 日和は相変わらずの態度で、宗像さんに答える。

 この人は、誰にでもこういう態度なのだろうか。

「じゃあ僕は、厨房で水鏡さんを手伝ってきますね。また後で。」
 日和はかぶりを振ると、厨房へと走り去った。

「やれやれ……日和も相変わらずだな。マリア。ちょっと、いいか?」
 宗像さんは私のほうへ向き直った。

「はい……?」

「言いにくいんだが、白百合寮は聖職者のための寮だ。男女の別にはけじめをつけたい。」

「……あの、つまり?」



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