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 「その……特定の男子生徒と、特別な関係になることは避けて欲しい。」
      「特にエクソシスト科の生徒は、悪魔と戦うための聖霊、“ディーヴァ“の加護が与えられた、特別な生徒だ。男女の関係ができれば、それだけで貴重なディーヴァの加護は消える。」
      
      「私も法王庁で、そう教わりました。恋愛禁止って!」
       宗像さんは、ホッとして、表情を柔らかくした。
      
      「ああ。恋愛だけでなく、特定の男子生徒と過剰に親密になるのも、避けて欲しい。その、万が一のこともあるし……」
       顔をしかめて、バツの悪そうに説明する宗像さん。
      
      「でも私以外に、ここには女の子、居ないですよね。男子生徒がダメなら、私、誰とお話すれば……」
      
      「それは……」
       宗像さんが、さらに困った顔をする。
      
      「でも大丈夫です!勉強することもたくさんあるし、私、本とか好きだし……うん!平気ですよ。」
       私には、お茶目なウルルも居るし。
      
       宗像さんの前では、あえて明るく振るまおう。
      
      
       ……その時。
      
      「宗像さん、マリア、どいてどいてー!!」
       にぎやかな声に気おされて振り向くと……
      
      「ほら見て、ショートケーキだよ!水鏡さん特製の!」
      
       キリトがケーキの乗ったトレイを持って立っていた。
       生クリームと苺の、オーソドックスな丸いケーキ。苺の上にはキレイに粉砂糖がふるってある。
      
       プレートに、チョコでメッセージが書かれていた。
      
      “Welcome Maria(ようこそ マリア)”と。
      
      「用意もできたし、これから食事兼、歓迎会!」
       と、屈託のないキリトの声。
      
       宗像さんはまだ、眉間にしわを寄せてうなづいた。どうやら天性の苦労症みたい。
「主よ、この食事の賜物を祝福してください……今日食事に事欠く人にも、必要な助けをお与えください……アーメン。」
      
      「アーメン。」
       いつもの祈りの後、夕食が始まる。
      
      
      
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