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「全然、大丈夫です。気にしてないですから!」
       私も愛想のいいほうじゃないけど、それでもせいいっぱい、笑顔を作ってみたりして。
      
      「それでは、失礼します!」
       気丈に振舞ったまま、私は自分の部屋に戻った。
      
 バタン。 
       私は部屋に戻ると、後ろ手に扉を閉めた。
      
      「明日から学校か……。準備して、早く寝よう。」
       枕もとに置いたケータイのライトが、ふと消えると少し寂しくなる。
      
       故郷の皆は元気かな?
       ウルタド神父に電話したほうがいいかな?
      
       でももう、こんなに遠くに来てしまったんだもの、しばらく郷愁にひたるのはやめよう。
      
      
      
      「マリア、帰ってたのか」
       部屋のベッドには、ぬいぐるみのウルルが座っていた。
      
       丸っこい黒ネコのぬいぐるみの正体は、実はウリエル。
      
       戦う時以外はこの姿をとると、力の消耗を防げるらしい。
      
      「ウルル……乱暴で、性格なんて最悪なヤツだけど……それでも私には、お前が居るものね」
       私はウルルの頭をポンポンと叩いた。
      
      「性格良かったら、お前の側には居ねーんだよ」
      
       ウルルが怒ってもあまり怖くない。
       正体は同じなのに。
      
      「おかしいの。ウルルの正体は悪魔なのに、勇気づけられるなんてね。 でも、日本の学園での暮らしにも、少しずつ慣れていかなくちゃ……」
       ベッドの上で私はいつしか眠りについていた。
 翌日。
       ゴーン、ゴーン……始業の鐘が鳴り響く。
      
       聖バルビナ学園の中でも、優秀な生徒が集められたエクソシスト専攻科は、25名編成の小さなクラスだ。
      
       しかも全員が神父候補ゆえ男子生徒。しかも、この専攻科に進むには、1年次で中学の教育課程を全て修了していなくてはならないらしい。
      
      「はい、はい、静かに」
      
       
      
      ■Next (4/8)