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「違う……そんなんじゃないわ!」
      
       動揺してしまうのは、私の心の奥底にやましさがあるからだろうか。
      
      「宗像さん、下がっていてください。彼らに憑いた悪魔は、私が祓います!」
       私は、銀十字を握って、2人の少年の前に飛び出した。
      
      「酷いな、マリア。僕とは初対面を装うつもり?僕とは遊びだったの?僕はだまされたってわけ?」
       そう言ってジョーカーは謎めいた微笑を浮かべた。
      
      「マリア……やめろ!!そいつに近づくな!!」
      
       反射的に飛び出そうとした宗像さんは、それ以上前に進めずに、勢いよく弾き返された。
      「くそ……魔力で行く手を阻んでいるのか!」
      
      「宗像、彼らの力はケタ違いです。このままでは、こちらからは手出しするどころか、近づくこともできません……!」
      
       宗像さんと水鏡さんは、強い力の壁に阻まれて、その場で立ち往生している。
      
      「ケッ、馬鹿馬鹿しい。どっちでもいいんだよ、ンなこと。オレは悪魔ウリエルの力をこの目で見てやりたいだけだ……来い、悪魔マルコシアス!!」
       ジードが叫ぶと、彼の首にまきついていた、黒い狼に似た獣が、むっくと立ち上がった。
      
       大きな馬ほどもある、狼に似た巨体に、黒い毛並みを波打たせる悪魔。
      
       この大口で首筋を一咬みされたら、間違いなく死んでしまいそうな、凶悪な姿だ。
      
      「さて、こっちは遠慮なくいくぜ。失うものは何もないんだからな!」
       ジードが叫ぶと、狼の凶暴なキバが月明かりに照らしだされる。
      
       彼らに対抗するには、私も悪魔の力を借りるしかない! 
      
      「わが下僕、悪魔ウリエル……契約主マリアが命じる。契約を果たす刻だ、目覚めよ……!!」
       私は、ウリエルを呼び出した。
      
       私の背後に、黒い煙が立ち上る。
      
       できれば学校の中では戦いたくなかったけれど……仕方がない。
      
      「ふん、そう来ないとな。さて、お前の悪魔の力を見定めてやんよ。」
       ジードとジョーカーは屋根の上から私たちを見下ろすと、不敵に笑った。
      
      
      
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